坂井泉水さん奪った「子宮頸がん」、女性に急増

子宮がんだけでなく、乳がんも結構怖いそうですヨ

坂井泉水さん奪った「子宮頸がん」、女性に急増
8月1日23時29分配信 産経新聞


 「負けないで」などのヒット曲で知られる「ZARD」のボーカル、坂井泉水さんが5月、40歳の若さで転落死した。子宮頸(けい)がんでの入院治療中の悲報で、同年代の女性にとっては2重のショックとなった。子宮頸がんは世界で年間に25万人が死亡し、女性のがん死因の第2位。近年、米国と英国に本社を置く製薬会社が相次いで予防ワクチンを開発、日本でも臨床試験が始まっている。(村島有紀)

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 子宮頸がんは、子宮の入り口にできるがんで、一般的には30、40代に多いが、日本では1990年代以降、20代から30代の女性に急増。年間約7000人が新たに子宮頸がんと診断され、約2400人が亡くなっている。

 原因は、性交渉を通じて感染するヒトパピローマウイルス(HPV)で、感染しても無症状のために、妊娠を機に発覚するケースが多い。早期発見すれば、ほぼ治癒できるため、国は平成16年から、検診の対象年齢を20歳以上に引き下げ、定期的な検診を呼びかけている。

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 予防医療に関心が高まるなか、開発されたのが、HPVの感染を防ぐワクチンだ。HPVは、100種類以上の型があるが、子宮頸がんに関連するのは、15の型に絞られる。そのうち16、18、33、52、58型が高危険型に分類され、欧米で7割の子宮頸がんが16、18型に起因する。日本人には比較的52、58型が多いが、16、18型がやはり全体の6割を占める。

 この16、18型の感染を防止するのが、米国の製薬会社「メルク」の子宮頸がんワクチン「ガーダシル」と、英国のグラクソ・スミスクライン(GSC)の「サーバリックス」だ。

 「ガーダシル」は、16、18型のほか、尖圭(せんけい)コンジローム(いぼ)の原因となる型にも効果があり、昨年以降、米、メキシコ、豪州など70以上の国と地域で承認された。

 一方、「サーバリックス」は、アジュバントと呼ばれる免疫増強剤が配合され、16、18型のほか、がんの原因となる31と45型にも効果が認められた。今年5月、豪州で承認を受け、欧州と米国でも承認を待つ。

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 日本国内では、万有製薬が「ガーダシル」の臨床試験を昨年7月に開始し、9歳から26歳の未感染の女性1100人に、3回の筋肉注射でワクチンを投与し、2年間経過を見る。

 また、GSC日本法人は、昨年4月から、20歳から26歳の女性約1000人の臨床試験を開始し、今年度中にも厚生労働省に承認を申請するとみられる。

 ワクチンは、感染後は効果がないため、性交渉を行う前の段階で接種することになる。海外では9歳や10歳からが接種対象となったが、日本でのワクチンが何歳以上となるかは未定。GSCの広報担当者は「海外のデータをどれぐらい活用できるかは、厚生労働省との話し合い次第」と話す。

 「ガーダシル」の開発者でこのほど来日した豪州クイーンズランド大学医学部のイアン・フレイザー教授によると、豪州では、12歳の女性を対象に、無料のワクチン接種予防プログラムを始める。ワクチンを接種する人が多ければ多いほど、HPVに感染する人が少なくなり、子宮頸がんの発生が抑えられるからだ。

 フレイザー教授は講演で「副作用は一般的なもので安全性が高い。このような人類の役に立つ開発に携わることができたことは幸運だった」と話した。

 厚労省によると、子宮頸がん予防ワクチンの普及を進めるかどうかは未定だが、一般論としては発売後、数年間、様子を見て検討する。

 若い女性や、10代の子供を持つ保護者が、ワクチンの接種にどれほど、積極的になるかは未知数だが、子宮頸がんの検診率は17年度で18・9%と低く、いずれにしても、がんを予防する意識の向上が求められている。
最終更新:8月1日23時29分


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