ツバメ:営巣、人け多い所に 「野鳥の会」会員が確認

ツバメも身を守るために頭を使っているのですね。

しかし、田畑が少なくなって、ツバメも棲家を失いつつあるのでしょうね。

ツバメ:営巣、人け多い所に 「野鳥の会」会員が確認--伊勢 /三重5月14日11時1分配信 毎日新聞


 ◇天敵からひなや卵守るため
 ツバメの巣作りは、人けのあるところで――。伊勢市の野鳥の会員が、繁華街3カ所で、ツバメの営巣数を調査したところ、人けが多くなると巣の数は多くなるが、人けが少なくなるにつれ減少していることを確認した。ツバメには、カラスや蛇などの天敵から卵やひなを守るため、好んで人けの多い所に営巣する習性に着目、13年前から続けている。一方で、進行する駅前繁華街の空洞化が、改めてツバメの巣からも裏付けられた。
 調査を行っているのは同市藤里町の日本野鳥の会県支部会員、吉居清さん(73)。技術系の会社に勤めていたことからデータ処理が得意で、1994年からツバメの営巣数の調査を始めた。調査地点は、▽伊勢市駅と近鉄宇治山田駅前の約600メートル四方の繁華街▽同市宇治中之切町の内宮門前町のおはらい町・おかげ横町▽同市常盤2の浦の橋商店街周辺の3カ所。94年、97年、02年と3回調査を行い、今年も5、6月、ツバメの営巣時期に調査を行い、人けと営巣の関係を確認することにしている。
 これまでの3回の調査で、駅前の繁華街は94年に27個の巣を確認したが、97年には20個、02年には10個しか見つけられなかった。市の定点調査による歩行者数も、94年の6500人から02年は2000人に激減。シャッターを下ろしたままの商店も増えている。この傾向は浦の橋商店街でも見られる。
 これと対照的に増えているのが、おはらい町・おかげ横町。94年に巣が28個だったのに対し97年は45個、02年は83個に激増していた。93年におかげ横町がオープンして客足が伸び、にぎわいが倍増したのが要因とみられる。赤福本店の軒下には、8個の巣があったこともあるという。
 吉居さんが市内を歩いて確かめたところ、古い街並みが残る古市や川崎などの街道筋で、ツバメの巣の跡がたくさん見つかった。商家の軒先にツバメが巣をかけると、赤飯を炊いて祝ったと伝えられる。だが今は、繁殖に使われている巣は少なくなっているという。
 ツバメは日本に春先に飛来し、秋には台湾やフィリピンなどの越冬地に向かう。4~7月ごろに軒先などに泥や枯れ草で巣を作って繁殖。巣は木造家屋やコンクリートのザラザラしたところが適しているとされる。また、害虫を食べることから「益鳥」とされている。
 日本野鳥の会県支部の西村泉事務局長は、「ツバメが軒先などにぎやかなところに営巣するのは、カラスや蛇、スズメなどの天敵から、本能的に巣を守ろうとするからだ。逆に人が少なくなれば、巣を作らなくなる」と話している。【林一茂】
〔三重版〕

5月14日朝刊

最終更新:5月14日11時1分


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