地球温暖化が「悪循環」に シベリアの湖でメタンの泡 --------------------------------------------------------------------------------
地球温暖化の進行でロシア・シベリア地方の湖の下に閉じ込められていたメタンが気泡になって上昇し、大気中に大量に放出されていることを、米国とロシアの共同研究グループが25日までに突き止めた。メタンの作用で温暖化がさらに進む「悪循環」が始まったとみられるという。
メタンは二酸化炭素の23倍という強力な温室効果ガス。従来ほとんど注目されてこなかったこの形でのメタンの放出を考慮して同グループが試算した結果、シベリアの湿地からのメタン放出量はこれまでの推定より最大63%も増えることが判明。今後、温暖化影響評価の見直しなどが必要になる可能性もある。
アラスカ大のケイティ・ウォルター博士らのグループは、2003年4月から04年5月までシベリアの湖で特殊な装置を使ってメタンの泡を連続観測。人工衛星の画像の解析や飛行機による観測結果を加えて放出量を試算し、大量放出の事実を確認した。
同博士は、温暖化で凍土が解けたため湖の面積が拡大し、メタンの放出量が増えて温暖化をさらに進める、という形態の「悪循環」が始まったと指摘している。
シベリアでは近年温暖化が進み、調査地点周辺でも1970年から現在までの間に年平均気温が2度ほど上昇した。この影響でメタンの泡を大気中に放出する湖の面積が広がり、2000年の放出量は74年と比べ58%増えたことも明らかになった。
博士は「今の温暖化傾向が続けば、シベリアなど北極域の湖の地下に蓄えられた大量のメタンが泡になって大気中に放出され、温暖化をさらに加速させる可能性が高い」と警告した。(共同)
更新2006年10月25日 11:35米国東部時間